2019.4.6
チャーターズでは、どんなに細かい事故でも報告をあげ、集計をしています。
そうした集計の中で、ここ最近非常に多いのが、バックをしている時の事故です。
(写真はイメージです)
確かに、乗用車よりも何倍も大きいトラックは死角も多く、また高さも3.8mギリギリまで
とってあることが多いので、物理的に当たりやすい乗り物ではあるのかもしれません。
また配送先が必ずしも広いところばかりではなく、
中には本来トラックでは到底入れないような場所に入り、作業をしなくてはいけないこともあります。
事故を起こしたドライバーさんになぜぶつけてしまったかヒヤリングをすると、
「雨で見えなかった」「暗くて見えなかった」「思っていた以上に狭かった」など
様々な理由を耳にします。
ですが、どんなに狭い場所であっても、また、どんなに見にくい状況であっても、
事故になる前に、それを防ぐことがプロドライバーとして求められています。
チャーターズで統計を取っていてわかったこととして、
バック時の事故にはいくつかのパターンがあることがわかりました。
1、バックモニターだけに頼っていて、サイドミラーを見ていない(側部への接触)
2、見えないものに対して、自分の感覚だけを頼りにしている(後方部接触)
3、左右は気にしているが、上部への意識がない(後方部上部接触)
4、バック時によそ事をしていて、結果、操作ミス
5、単純な運転技量不足及びトラックのサイズ感覚不足
大きく分けると、これら5つのパターンでのバック事故に分類できます。
最近ではチャーターズもほぼ全ての車両にバックカメラをつけていますが、
後ろが見えているにも関わらず毎年かなりの件数のバック事故が起こります。
ここで重要なことは、
「トラックでバックしているときは後ろだけに注意すればいいわけではない!」
ということです。
大型トラックやトレーラーなどは本当に大きい乗り物です。
乗用車では気にせずにいられることも、トラックでは注意深くその判断や操作を行う必要があります。
「そうした意味では、誰でもトラックに乗れる」というのは間違っていて、
飛行機や船と同じように、スペシャリストだからこそ扱えるものなのです。
ドライバーのみなさんには、是非とも常にそうした気持ちでいてほしいと思います。
話がそれてしまいましたが、バック事故が起こる原因。
それは、
認知度(注意意識) × その時の周辺環境、心理状況など
である程度説明することができます。
普段は意識を向けて注意している人(認知100%)でも、周りの環境や心理によって、その能力や
意識は驚くほど削がれます。(ここでは仮に70%とする)
すると、どんなに優秀なドライバーさんでもその他の状況によって、
本来の認知度レベルほどの注意ができなくなり、事故に至る可能性があります。
認知度レベル 環境・心理状況による変化
100% × 70% = 700
これを考えると、ましてや最近非常に多い運転をしながらの通話がいかに危険かわかります。
ながら運転は他に注意がいくことから認知度自体を下げるため、
認知度レベル 環境・心理状況による変化
60% × 70% = 420
このような形で、圧倒的に通常の状態よりも危険度が増します。
そして、この認知度レベルをなるべく100%にするために会社として行わなければいけないのが、
安全に対する教育(モラル教育含む)だと思います。
言い換えると、こうしたバック事故を含む様々な事故が起こる原因は;
会社でしてあげられる教育水準 × ドライバー個人の意識
であると言えるのかもしれません。
最後に、蛇足ではあるかもしれませんが、事故を起こさないための
バック操作についてフローを記載して、今回のCH Driver"s Lessonを終えたいと思います。
【バック時に必要な確認フロー】
① バックをしようとしている場所に障害物などないことの確認。(場所目視)
※高さについてもこのタイミングで確認するようにしましょう!
(当たり前のことですが、毎日同じ時間に同じお客さんに入る便などで、
駐車スペースに他のトラックが停まっているのに、空いていると思い込んで接触する事故が
時々発生したりします。)
↓
② 車格の確認(意識)
(今自分が乗っているトラックはどんなサイズかきちんと意識した上で、
バック操作をする意識が重要です。乗り換えが多いドライバーさんでは
この意識がないことによる事故が時々みられます。)
↓
③ ミラー及びバックカメラの確認(人や駐車場所左右の目視確認)
(一度停まり、バックギアに入れる前にミラーやバックカメラを確認することで意識する前のバック始動を防ぐことができます。)
↓
④ バックギアに入れ、左右や後方に注意しながら後退する
(バックするときは、前進の時と異なり、一呼吸置いてから左右を確認しつつ、必要に応じてカメラをみて後退すること、またバックギアに入れたときの電話は絶対にしないこと)
※バックカメラはあくまでも補助であるという認識を持つこと(目視確認が原則!)